スタッフ紹介

代表取締役 藤本 眞

未来の仕事を創っていく役割

代表取締役の藤本眞には、これまでの東陽工業のお仕事を踏まえながら、今後主力となっていく天井耐震事業を中心にした会社の未来について話してもらいました。


 

3.11ではじめて気づいた、内装の耐震補強する必要性

現在取り組んでいるのは、どういった業務でしょうか。

東陽工業の主力業務である軽鉄・ボード工事や金属工事は専任スタッフに任せていて、私は天井耐震に関する仕事をメインに取り組んでいます。天井の耐震診断・工事は、弊社にとっての新規事業なのですが、他の業務と共に主力を担う事業に成長させていきたいと考えています。

どういった経緯でこの分野に取り組むことになったのでしょうか。

きっかけは、2011年の東日本大震災です。大きな地震で天井が落ちるなどの事故が多く発生しました。建設業界では以前から「耐震化」が大きな課題になっていました。努力のかいもあって、最近では建物の耐震化についてはかなり整備が進んでいます。しかし、内装については課題にさえなっていなかったのです。いくら建物が頑丈になっていても、内装が弱かったため、3.11では体育館などの天井が落ちる被害が多発してしまったのです。

建物が壊れなくても天井が落ちてきたら危険ですね。

そうですね。こうした問題が顕在化し、少しで危険性を減らそうと設立されたのが、JACCA(日本耐震天井施工協同組合)です。弊社はこの団体ができた初期の段階から加入し、組合員として活動をしています。私自身も「天井耐震診断士」という資格を持っていて、天井の診断や予算にあわせた工事の提案などを行っています。

活動を通じてわかったことはありますか?

軽鉄・ボード工事を専門にやっていないと、天井診断の細かい部分まではわからないということです。弊社のように日常的に軽鉄・ボード工事をやっている人間と、そうでない有資格者では、現場で正確な情報を得たり、判断するといった点で大きく差が出ます。
例えば建物には古いものもあれば新しいものもあるわけですが、私たちは過去から多くの屋根や軽鉄、ボード工事に携わってきた経験からさまざまな診断ができます。弊社では普段、ゼロから天井を作っていますが、その経験がないと実際におかしな所は発見できないんです。
天井を作れれば診断ができます。しかし診断ができても、天井は作れないのです。

天井耐震事業は診断をしたり、診断をもとにした提案になるのでしょうか。

そうです。まずは診断をして、JACCAの基準に沿った耐震提案を行います。しかし、耐震補強というのはお金がかかるものですから、どうしても予算が出ないこともある。そういうお客さまには、予算に合わせた提案をすることも可能です。耐震補強をしていないと、所有者・管理者・占有者施の責任に問われることになるため、天井耐震補強は、公共施設や大人数を収容する施設にとっては重要なリスクヘッジになります。よく言われるのが「特定天井に該当しないから何も対策しなくてもよい」というのは誤りということです。被害が発生すれば特定天井であろうとなかろうと、所有者・管理者・占有者はその責任から逃れることは出来ません。


 

中学を卒業する頃に、この道に進もうと決めた

少し視点を変え、これまでの経歴に関してお教えてください。どういった経緯で会社を継がれることになったのでしょうか。

私が家業を継ごうと考えたのは、中学卒業の頃でした。高校進学を決めなければいけない時期でしたから、将来の進路を考えたわけです。高校は建築関係の学科を選択しました。
機械系にも興味があったので、迷いがまったくなかったわけではありませんでした。しかし実際に生涯の仕事として何がベストかを考えてみました。また、せっかく家がこうした仕事をしているのだから、それを生かしていかないと勿体ないという思いもありました。弟と妹もいますが、それぞれの好みを考えたら継ぐのは自分しかいないだろうな、という思いもありました。

小さい頃から、お仕事の様子はご覧になっていたのでしょうか。

はい、自宅と会社が同じ建物にありましたから。ですから、小さい頃から祖父や父の仕事を見ていましたし、すべてわかったうえで興味も持っていました。親から特に継ぐことを勧められたわけではなく、自分で決めました。こ業界の雰囲気もなんとなくわかっていたので、実務も父や先輩の仕事を見て覚えていきました。仕事をしながら2級建築施工管理技士の資格も取得しました。ただその頃は会社も小さく、この資格を具体的にどう生かしていくかなどは考えませんでした。若いうちに取れるものを取っておこうという考えでしたが、今となってはこれまでの軽鉄・ボード工事や内装の経験、それにこの資格があるから天井診断の仕事ができるわけです。


 

会社を長く続けていくために考えていること

こうした分野が無くなることはないと思いますが、同業でも無くなってしまう会社もありますね。未来を見据えては考えることはありますか?

祖父が創業時にやっていたスレート屋根工事は需要が減ってやめてしまいましたが、そのかわりに軽鉄工事の事業を始めました。軽鉄工事事業は今も弊社の主力事業ですが、新たに金属工事の事業や天井耐震工事に参入しています。新たな事業を始めるためには、新しい技術の習得が大変ですが、会社を続けていくためには将来的にニーズが高まる分野を見極めてチャレンジすることも必要だと、祖父や父の背中を見て学んできました。

主力の軽鉄・ボード工事についても、継続的に仕事がくるように工夫していことはありますか?

基本的には技術力ありきでしょう。弊社は高い技術水準を維持していると自負していますが、高い技術を持った人材の確保は、職人の高齢化と人手不足のために難しくなってきています。ますます人の確保と教育にはますます力を入れていかないといけないでしょう。
繰り返しになりますが、最終的には施工能力が高い会社が生き残っていくと考えています。これまでは値段が安い会社が仕事を取れていました。これからは良い職人がいる、施工能力が高い所に仕事が集まってくるでしょう。

安かろう、悪かろうではなくなってくるのですね。

その通りです。弊社は長くお付き合いいただいているお客様が多いのですが、それも良い職人さんが揃っているからだと考えています。品質はもちろん、納期もきちんと守ります。また弊社は軽鉄ボードの大規模な工事は、あまりしていません。そのためお付き合いの多くが、地場の工務店さんたちです。弊社は大手のように「営業をする人」「工事をする人」「請求をする人」と、細かく担当が分かれていないので、現場の人間のコミュニケーション能力が重要になってきます。その点でも弊社は信頼をいただいています。